東京西部一般労働組合

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 退職代行サービス会社、弁護士法違反(周旋など)の疑いで、家宅捜索  

 2025.10

 退職希望者から依頼を受け、退職の意思を伝える退職代行サービス会社を巡り、弁護士法違反(周旋など)の疑いで、会社と提携する弁護士事務所などに家宅捜索に入ったとの報道がなされた。嫌疑は非弁(ひべん)行為で、弁護士以外の人が、報酬目的で、(1)法的な争いを代理人として交渉したり、(2)第三者にあっせんしたりするのを非弁行為といい、弁護士法72条が禁じている。

本来、退職に関する法律としては、民法第627条第1項は、期間の定めのない労働契約について従業員に「いつでも解約の申入れ(退職の申出)ができる」権利を認めています。その場合、申入れの日から2週間後に労働契約が終了すると規定しています。正社員など無期雇用の従業員は、2週間前に退職の意思表示をすれば退職できます。これは退職の自由を保障する定であり、会社同意なくても退職が成立する点が重要です。会社側がそれを拒否したり一方的に延長したりすることはできません。(就業規則での定めに優先)正社員としては内容証明郵便で通知、2週間後には退職が出来る事を理解していない方が多いこととと、会社とトラブルになりたくない事から、「退職代行サービス」にすがるのではと推定されます。


 現行法では、交渉が出来るのは、弁護士と労働組合だけ

賃金・残業代、有休休暇処理、退職金支払い、離職票の発行などで嫌がらせするブラック事例では、会社との交渉が必要になりますが、現行法では、交渉が出来るのは、弁護士と労働組合だけになります。
弁護士を代理人にたてて交渉するか、個人加盟の労働組合に加入して団体交渉で交渉するかの2択です。
いずれにしても弁護士費用や組合費というコストがかかりますが、法律に則った形で退職と労働債権確保にはそれなりの手間がかかることになります。

世相とはいえ、自らの退職手続きを第三者を通してでしか出来ない労働者が多くなることに危惧する次第、今後の日本経済の劣化はさけられないといえそうです。

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